内野式洗浄の歩み。シリーズNO.133
ある日、東芝の人々が弊社へフロン代替としてシリコーン油を使った方法の共同開発の申し込みがあった。東芝部品材料事業本部からのお話で、内容は東芝で2年くらい前よりシリコーン油を使ってのフロン代替の研究しているが、仕上げ乾燥まで含めた洗浄システムが完成しないので共同開発に協力してほしいとのこと。
私は新しい開発をすることが大好きなので早速、引き受けることにしました。しかし共同開発と言っても口頭での申込みでありました。その当時弊社では私の指示で色々な開発をしていたので、その開発テーマの1つとしました。一番の問題で重要テーマは仕上げ洗浄と乾燥をどうするか?でした。
これをテーマとして色々考えましたが、先ずはシリコーン油の沸点が170℃くらいだったので真空下で減圧蒸気洗浄する方法。
その他の方法は完全フッ素化液体を使って蒸気洗浄してみたいという考えがありました。(但しこの液は不活性液で油は溶解しないと言うのが定説であった)
しかし被洗浄物の表面では蒸気が凝縮しその際、液として流下するので少しは溶けなくとも液で流し落としてくれないか?と試してみようと思い、その当時の弊社の開発担当者 熊本さん、弓削さんで実験を指示しました。完全フッ素化液体でも沸点が色々あり、何種類かをそろえて実験を開始、その結果予想もしない結果が生まれたのでした。
それはシリコーン油が完全フッ素化液体の蒸気で溶けることを発見したのです。
続く)